◇中分類
声の一生
体(楽器)の成長・変化とともに、声はどう変わっていくのでしょうか?
生まれた時から高齢に至るまでを、声の高さを中心にたどってみましょう。
●出生
産声は男女別も各国の差もない万国共通の高さです。
高さはa1(ピアノの鍵盤中央の「ド」より右へ5つめの「ラ」)で、ヘルツの単位(1秒間の振動数。
振動数が多いほど高い音になる。音の高低を表す単位)だと約440ヘルツ。
*オーケストラなどで指揮者が出てくる前に音合わせをするのに使うのが、産声と同じ「ラ」の音で、
基本になる楽器は人間の喉頭に似た構造の楽器であるオーボエなのだそうです。
楽器の必然性やオーケストラのなかの特異性によるのでしょうが、産声と同じ「ラ」というのが
何か神秘的な感じですね。
●生後1〜2か月
生後5週間を過ぎる頃から、快い感じのときにはやわらかい声、不快なときにはかたい声で泣くと
いわれます。初期の喃語期(わけの分からない言語を断片的に発する時期)のはじめの頃。
音は少し下がって、200〜300ヘルツ。
音階ではg(ピアノの鍵盤中央の「ド」より左へ3tめの「ソ」)〜h(gより右へ2つめの「シ」)
●6か月め
喃語期に入ると、本能的というか、無意識に声を出しはじめます。
音域は1オクターブ半。
●幼児期
歩き始める頃から潜在的声域能力が目覚め、だんだん自分の意識で調整出来るようになってきます。
3歳児だと、生理的声域(音楽的な声域とは異なり、人間が出せる声の最高音から最低音までの範囲)が
a〜a1までの1オクターブくらいだそうです。
一番高いところが産声と同じa1(ドレミの「ラ」)で、低い音は1オクターブ下の「ラ」です。
5歳になるとa〜c2まで。下は3歳児と同じく「ラ」(a)ですが、上がピアノの鍵盤中央の「ド」より
1オクターブ上の「ド」まで高くなります。
●学童期
小学校に入学する前後になると、子供の声はいちおう完成します。
生理的な音域はf(ピアノの鍵盤中央の「ド」より左へ4つめの「ファ」)〜f2までの2オクターブになります。
学童期から次の変声期に至るまでには、年齢に応じて少しずつ声域は変化していきますし、個人差もあります。
●変声期
第二次性徴のホルモンによって起こります。変声をもたらすのは、発声器官の形の変化がおもな原因です。
男性だと小学5〜6年生頃、女性だと男性より半年〜1年早いそうです。
変声が終わるまでの期間は個人差がありますが、3ヶ月〜1年くらい。
また、変声の時期というのは、気候風土や人種によっても違うようで、暖かい地方のほうが寒い地方より早く、
文化程度の高い地方ほど早めの傾向にあるそうです。
形の変化は、咽頭が前後・左右・上下などが違った割合で大きくなり、声帯を包む周囲のフレームが発育し、
形づくられていきます。
特に男性の場合は、咽頭が前後に大きくなるのでのどぼとけの突起が前に出てきます。
女性の場合は、前後や左右の変化が少なく、上下方向の発育が主なため、のどぼとけが出てきません。
声帯も、長さ、厚さ、幅などが大きくなりますが、男性は長さの変化が著しく、前後に長くなります。
女性は男性ほど目立った変化はありません。
それにより声が変わります。
咽頭の前後径が伸び、声帯が長くなる男性は、声が低くなります。
話し声は1オクターブくらい落ち、声域の下の部分の広がりが目立ちます。
咽頭がおもに上下方向に伸びる女性は、声の高低の変化はあまり大きくなく、話し声が少し低くなるほか、
声域も少々上下に広がる程度で、なかには変わらない人もいます。
この時期は、大声を出したり、強い声を出したりするのを避けて、のどを酷使しないことが大事です。
(酷使しないようにと、神経質になって声を出さなすぎもかえって声変わりが長引いて良くないようです。)
よくうがいをして、のどを清潔にしておくことも大切です。
●20代
声変わりが終わっても、すぐ完全なおとなの声になるわけではなく、20代のうちは喉頭の発育は少しずつ
進んでいて変わるものです。軟骨が固まってくるのが24〜25歳で、声域はこの辺りでだいたい決まってきます。
生理的声域は約3オクターブまで広がります。(音楽的声域は約2〜3オクターブ)
東大の調べでは、日本人成人の平均的な声域は、
男性Cis(ピアノの鍵盤中央の2オクターブ下の「ド」の半音上の音)〜約3オクターブ上のC2。
女性C(ピアノの鍵盤中央の1オクターブ下の「ド」)〜約2オクターブ半上のg2。
●女性の第二変声期(40代〜50歳くらい)
女性は更年期に女性ホルモンが出なくなるために男性のような声に変わってきます。(声が下がる)
ママさんコーラスや、カラオケをする中高年女性からは、高い声が出ない、声がかすれやすい、疲れやすい、
音程が定まらない・・・という悩みを抱えるようです。
更年期少し前頃からこの現象がはっきり出てきます。(誰にも起こることですが、個人差あり)
多いケースでは、若い頃歌唱歴があり、結婚、育児などでかなりの年数の中断期間を経たあと、時間的余裕が
出来たので歌を再開したという場合です。
かなりの年数のギャップがあるのを無視して、この発声で以前には出たはずなのにうまく声が出ないといって、
昔の発声法に執着しているために声を壊してしまいます。
10年、20年の空白期間中に体の状態はかなり変化しているから、昔のままの発声では通用しないのです。
現在の体の状態に適合させて発声法そのものを修正しないといけません。(新しく発声法をやり直すくらいのつもりで)
●50代以降
更年期が過ぎ、さらに老化が進むと、今度は男性の声が女性に近づいてきます。
骨格や筋肉が萎縮してくるのにつれて、喉頭も萎縮して小さくなり、声帯もやや萎縮して短くなるので、
声が高くなります。加えて、共鳴腔も狭くなり、軟骨も骨化して、音色もつやのない声になっていきます。
老化が進んでもほとんど声が変わらない人もいます。(きっと声に気づかっている人でしょう)
●70代以降
70歳、80歳とさらに老化が進むと、呼気気流の力が落ち、音声が弱くなったり、喉頭粘膜や共鳴腔が乾燥したり、
弾力性がなくなってくるため、つやのない声、さびた声になってきます。
また、声帯もさらに萎縮し、かたくなるので、高い声になります。特に男性の場合、はっきりとした変化が認められる
ようです。そして声のうえでの男性の女性化、女性の男性化が進んで、ついに同じような声になってしまいます。
*男女同じ高さの産声に始まり、高齢になるとまた同じ声の高さになるんですね。
それにしても、文面だけたどると、自分は将来そうなりたくないと思いますよね。
それらの(自分にもふりかかってくるだろう)変化を出来るだけ緩和するため、今後も声には気づかって過ごして
いきたいと思います。
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